こんにちは。
上海KEMBO 総経理 CTO の佐々木です。
僕が企業にヒアリングする中では、本社から「うちはGeminiだから」「GPTは使っていいよ」と言われ、本社が管理するツールだけを使っているケースが多くあります。
ただ、実際にはその場で質問するチャット用途で止まっていて、AIエージェントまで使っている企業はまだ少ないと感じます。
「エージェントって、メールを自動で書いてくれるものでしょ」と思っている人もいるかもしれません。もちろん、それもできます。でも、僕が一番いいと思うのは、そこではありません。
チャットAIとAIエージェントは何が違うのか
僕の中では、チャットAIは、その場その場の新しいセッションで質問に答えてくれるものです。一方、AIエージェントは、新しいセッションになっても過去の経緯を引き継ぎ、前回の状態から仕事を再開できます。
自分の知識や案件の情報、仕事の進め方をテキストで蓄積しておける。指示まで含めた大きなデータベースを作れるので、毎回いちいち説明しなくていいんです。
例えば、PowerPointなら作り方や書式をあらかじめ定義しておく。Wordも同じです。メールなら、言葉遣いや書き方まで決めておけます。
「メールを書いてくれる」という一つの機能だけを見ると、そこまで必要ないと思う人もいるでしょう。でも、自分の仕事の背景やルールを理解した担当者がいて、次の仕事にもその理解を持ち越してくれる。僕はそこに大きな価値を感じています。
資料作成に使う時間が大きく減った
僕の仕事では、戦略立案や企画書、提案書の作成に多くの時間を使っていました。お客さんとの最初の会議中に、頭の中では提案の骨格がほぼできています。それでも、それを資料にするのは自分しかいませんでした。
長い資料は、作成だけで4時間ほどかかることがありました。重い提案になると、レビューと修正を重ね、完成まで1週間ほどかかることもありました。
今は、頭の中にある仕様と必要なデータをAIに渡せば、過去の情報や制作ルールを踏まえて資料化してくれます。1時間ほどで済むものもあれば、10分程度で形になるものもあります。僕の体感では、素材集めや修正まで含めて、仕事の効率は約3倍になりました。
何より大きいのは、頭を使わない作成作業に何時間も取られるストレスが、ほとんどなくなったことです。
人間は「次をどうするか」に集中する
僕がエージェントに任せているのは、記録管理、定期的な情報収集、資料作成とレビュー、そして今後何をすべきかについての助言です。
例えば、スタッフから届いた月次レポートを案件担当のエージェントに渡すと、合計の計算ミスや、前月の数字が残っている箇所を見つけてくれます。「データの報告だけで、だからどうなのか、次にどうするのかという分析がない」といった不足も指摘してくれます。
一方、僕は「次に何をするか」「本当はどうしたいのか」を考えることに集中します。人間は顧客の事情や現場の常識を理解しています。その理解をもとに方向を決め、AIへ指示する。僕には、この役割分担が合っています。
音声入力で、頭の中をそのまま渡す
もう一つ大きかったのが、Typelessを使った音声入力です。
キーボードでは打ち切れないような長い背景や考えも、話す形なら短時間で伝えられます。僕の場合、考えを短い命令文に削るよりも、前提や迷っている点まで含めて話した方が、AIに意図が伝わります。
AIを活用するには、上手な一文の指示を書くことより、自分が持っている情報を十分に渡せる環境を作る方が大切だと感じています。
最初の一歩は、担当を一人作ること
最初から大きな仕組みを作る必要はありません。
まず、自分の担当業務か一つの案件について、AI側に担当者を一人作る。その担当者に、案件の背景と目的、何をやってもらいたいのかを伝える。最初の一歩は、それで十分です。
使い続けるうちにデータがたまり、自分の癖や、良かった点、悪かった点も記録に反映されていきます。毎回いちいち説明しなくていい状態になると、AIエージェントが普通のチャットとは違うことを実感できるはずです。
「エージェントはコードを書く人のものでしょ」と決めつけず、まず一つの仕事を渡してみてください。パソコンで仕事をしている人なら、その便利さを感じられる場面はあると思います。



